シェンゲン協定とは

シェンゲン協定 旅の雑学・豆知識

ヨーロッパを旅行する際、「シェンゲン協定」という言葉を耳にすることがあります。この「シェンゲン協定」とは何なのか、解説します。

シェンゲン協定とは

シェンゲン協定(Schengen Agreement)とは、ヨーロッパの国家間で国境検査なしに国境を越えることを許可する協定です。

「国境検査なしに国境を越える」、つまり、該当国同士の往来(国境越え)の場合、国境検査がない、ということです。この場合、パスポートも不要です。

シェンゲン協定に加盟しているシェンゲン協定締結国(シェンゲン圏)の域内では国境管理をなくす一方で、対外国境では出入国管理に共通のルールがあり、観光・出張等を目的とした短期滞在用の圏内共通の査証である「シェンゲンビザ」を導入しています。ただし、対象国のパスポート所持者(日本を含みます)については、シェンゲン圏内であれば、この「シェンゲンビザ」取得が免除され、原則的に出入国審査なしに自由に各国間を移動することができます。シェンゲンビザについては後述します。

シェンゲン協定加盟国

シェンゲン協定加盟国は、次の29カ国です〔2026年3月現在〕

オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン

また、事実上シェンゲン協定に加盟している「モナコ公国」、国境審査を行っていない非EU加盟国「バチカン市国」、「サンマリノ共和国」、「アンドラ公国」があります。

EUに加盟していても、「アイルランド」「キプロス」はシェンゲン協定に加盟していません。

イギリスは、EU、シェンゲン協定ともに非加盟国です。

シェンゲン協定加盟国ですが、「アイスランド」「ノルウェー」「スイス」「リヒテンシュタイン」はEU非加盟国です。

ところで「シェンゲン」って何?

1985年、当時の欧州経済共同体(EEC)〔欧州連合(EU)〕設立条約(ローマ条約、1958年発効)では、加盟国間で人、物、サービスおよび資本が自由に移動できる共同市場を創るという目標が掲げられました。1985年、当時のEEC加盟10カ国のうち、西ドイツ、フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの5カ国が「人の移動の自由」の実現に向けて、域内国境を段階的に撤廃することに合意したのが「シェンゲン協定」です。その「シェンゲン」とは、ルクセンブルクにある「シェンゲン」という小さな村で締結されたことに由来しています。

シェンゲンビザ

シェンゲン協定加盟国では、短期間の観光や商用等を目的とした短期滞在用の 圏内共通の査証「シェンゲンビザ(Schengen Visa)」を発行しています。このシェンゲンビザ所持者は、シェンゲン圏内であれば原則として出入国審査なしに自由に各国間を行き来することができます。最長180日の間に90日間滞在することが可能となります。

ただし、日本国籍の方などは、シェンゲンビザ取得が免除されています。そのため、日本国籍の方 は、渡航目的、滞在期間、パスポート要件、必要書類等の携行等の条件を満たせば、シェンゲン協定加盟国への無査証(ビザなし)での滞在が可能 です。

パスポート有効期限

シェンゲン領域における短期滞在目的での渡航者は シェンゲン加盟国域内からの出国予定日から3か月以上の残存期間 があり、かつ、10年以内に発行されたパスポート を所持している必要があります。

また、旅行期間中、旅行者に対して身分確認や審査を、各国にて抜き打ちで行うことがあります。パスポートを所持していなかったために、当局に身柄を拘束された事案も発生しているようです。そのため、パスポートは常に携行するようにしましょう

滞在目的

最長180日の間に90日間滞在することが可能で、観光、出張などのビジネス目的、親族・友人訪問、文化・スポーツイベント参加や交流、ジャーナリストや取材目的、治療、短期的な勉強や研修などでの滞在が該当します。

現地で報酬を得る就労目的の渡航は、ビザが必要になります。場合によっては、ビザ無しで渡航し、現地にて就労目的の滞在許可を取得することができる場合があります。

滞在期間

最長180日の間に90日間滞在することが可能、というのは、入国を予定している日から180日遡り、その期間内の滞在日数が90日を超えてはいけません。

日本国籍の方がシェンゲン協定加盟国域内に、あらゆる180日の期間内で90日以上の滞在をする場合は、滞在目的国のシェンゲンビザ(長期滞在:タイプD)の取得が必要となります。

※「あらゆる180日間内で最大90日間」とは、任意の基準日から過去180日間に「累積で90日を超えて滞在することはできない」という意味です。シェンゲン協定圏内入域日と出域日もそれぞれ1日の滞在とカウントされます。

海外旅行保険

シェンゲン協定加盟国の中には、入国に際して 海外旅行保険の加入を義務付けている国があります。

渡航国の要件を満たした補償のある海外旅行保険に加入していないと、入国が認められなかったり、罰金を支払う必要があるケースがあります。これらの国に渡航する際は、海外旅行保険の加入とともに、提示を求められた際にすぐに提示できるように保険証券の携帯が必要です。

その他のシェンゲン協定加盟国は、ビザ免除での入国については、海外旅行保険への加入を推奨としていますが、ビザ申請をする場合は海外旅行保険証券の提出が求められます

海外旅行保険の加入を義務付けしているシェンゲン協定加盟国と必要な海外旅行保険・保険補償額等は以下の通りです。

  • ブルガリア=滞在期間をカバーし、EU内で有効な3万ユーロ相当額以上必要。
  • チェコ=滞在期間をカバーするもので、治療・生害・死亡の各項目において、それぞれ3万ユーロ相当額以上の補償が必要。
  • ハンガリー=滞在期間をカバーするもので、死亡時の補償が3万ユーロ以上必要。
  • ラトビア=滞在期間をカバーするもので、治療・救援の補償総額が3万ユーロ以上必要。
  • リトアニア=入国時に保証証券の原本が必要。滞在期間がすべてカバーされ、3万ユーロ以上の補償必要。緊急移送を含む医療サービスが含まれていること。

上記いずれの国も、クレジットカード付帯の海外旅行保険の場合、本人名義の英文保証証券が必要になります。

入国審査と出国審査

シェンゲン協定加盟国内では、最初の到着地で入国審査最後の出国地で出国審査が行われます。
このため経由国では入国スタンプを押されることは原則的にありません

もし、最初に到着したシェンゲン協定加盟国での入国審査で、押されるはずの入国スタンプが押されなかった場合、現地で密入国を疑われるなどのトラブルが発生してしまいます。シェンゲン領域内に入国の際は、入国スタンプが押印されていることを必ず確認してください。

入国手続き

日本からの直行便でシェンゲン協定加盟国に入国の場合や、シェンゲン協定加盟国を経由し、別のシェンゲン協定加盟国へ乗り継ぐ場合は、最初に入国した国でのみ手続きをします。

<例;日本からフランス(パリ)経由でスペイン(バルセロナ)へ行く場合>

  • 入国審査〔パスポートへの入国スタンプ押印〕…パリ
  • 税関検査(機内持ち込み手荷物)…パリ
  • 税関検査(機内預け入れ手荷物)…〔最終目的地まで預けた場合〕バルセロナ
  • 税関検査(機内預け入れ手荷物)…〔経由地で引き取る場合〕パリ

 

出国手続き

シェンゲン協定加盟国から帰国する場合、最後に出国する国でのみ手続きします。

<例;ギリシャ(アテネ)からパリ(フランス)経由で羽田(日本)に帰国する場合> 

  • 出国審査…パリ
  • 税関審査…羽田

<例;ギリシャ(アテネ)からロンドン(イギリス)経由で羽田(日本)に帰国する場合> 

  • 出国審査…アテネ
  • 税関審査…羽田  ※イギリスはシェンゲン協定加盟国ではありません

  ※この場合、アテネから羽田(最終目的地)までスルーチェックイン、スルーバッゲージ(ロンドンでチェックインや荷物の預け直しが不要)の場合の例です。ロンドンに入国が必要な場合は、経由地のロンドンでの入出国審査や税関検査の手続きをしなければなりません

EES(Entry Exit System)の導入

2025年10月から、シェンゲン圏の29カ国に短期滞在目的で訪れる、日本を含む非EU国籍の渡航者を対象に、電子登録による新たな出入域システム「EES(Entry Exit System)」の導入が始まりました。約6カ月かけて段階的に導入され、2026年4月10日以降は、導入国の全ての国境検問所で運用が始まる予定です。

事前申請は必要ありません。国境検問所で、パスポートに記載されている氏名や生年月日、EESを使用する欧州各国への出入国日・場所、顔写真および指紋(生体認証データ)が電子的にシステムに登録されます。許可された期間を超過した場合や入国を拒否された場合も、その情報が記録されます。指紋の登録や顔写真の撮影を拒否した場合や生体認証データの提供を拒否した場合は、EESを導入している欧州諸国に入国できません。

パスポートの出入国スタンプの代わりに国境管理手続きが自動化され、渡航者にとっては移動の利便性が増します。

登録されたデータは、入出国と入国拒否の記録に関しては、記録された日から3年間、個人情報を含む個別ファイルは最後の出国記録の日から3年と1日、出国の記録がない場合は滞在許可の有効期限から5年間の保管期間が終了すると自動的に消去されます。

欧州渡航情報認証制度「ETIAS(エティアス)」

2026年10~12月頃に、「欧州渡航情報認証制度(European Travel Information and Authorisation System=ETIAS)」の運用が始まる予定です。

日本をはじめとするシェンゲンビザを免除されていた域外国からの短期滞在目的の渡航者は、事前にオンラインでETIASを通じて入国審査の申請を行い、認証を得る必要があります(アメリカのESTA、カナダのeTA、イギリスのEATと同様です)。

具体的な運用開始時期など最新情報はEUのETIASの公式ウェブページ(英語サイト)https://travel-europe.europa.eu/etias_en
をご覧ください。詳細が発表されれば、この「まおこんTrip」でも紹介する予定です。

シェンゲン協定について説明してきましたが、ざっくり言うと、シェンゲン協定に加盟している国(29カ国)が1つの大きな国で、その中で、29の都道府県にわかれている、といった感じです。